
この記事を書いているのは2006年2月12日だが、既に一部の通販ショップでは先行で販売されていたようです。池玲子。タイトルは「恍惚の世界」。1960年代後半から1970年代前半にかけて多感な青春時代を過ごした男性にとっては、その名前を聴くだけでアドレナリンが噴出すような名前であろう。1960年代から1970年代前半にかけての私と言えば、まだ色恋の時代ではなく、TVの特撮ドラマ(ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、怪奇大作戦等)とか空想特撮映画(「ゴジラ」「ガメラ」「大魔神」等)、怪奇コミック(水木しげる、日野日出志、梅図かずお、古賀新一等)といった空想の世界ばかりに夢中になっていた時代であったため、過去にも紹介した渥美マリのアルバム「夜のためいき」(1970年)同様、大人になってからその存在を知ったのであります。今回レコード会社の大英断によって紙ジャケ化されたのは池玲子がスクリーンにデビューした1971年に発表されたアルバム。アルバムの内容に触れる前にざっと彼女の足跡にふれてみたい。
池玲子は1954年東京都出身。まずここで最初のびっくり。彼女は東映(東映京都)から1971年に映画デビューを飾っている。同期は絶頂期に大手エリート商社マンと結婚して潔く芸能界から引退してしまった杉本美樹。鈴木則文監督による『温泉みみず芸者』が彼女のデビュー作であった。この時点で彼女は17歳(撮影当時は16歳)。しかしお色気映画に出演する為に、年を18歳、つまり1953年と偽って映画デビューを飾っていたのだ。昨今の芸能界でも年齢を偽るなんて日常茶飯事かもしれないが、彼女のようにお色気映画に出演する為に実際の年齢より上の年齢を騙ってデビューを飾ったケースはそう多くはないのかもしれない。何故こんなにも焦って映画デビューを急いだかと言えば、当時の東映のお家の事情があった。芸能界を目指す今の若い女性同様、池玲子自身にも《有名になりたい》という強い上昇志向があった事は否定出来ないが、当時の東映を語るには《緋牡丹のお竜》で一世を風靡した藤純子(寺島純子)という当時の人気女優の存在抜きに語る事は出来ない。
私にとってはワイドショー「3時のあなた」の司会で見せた物腰の柔らかい雰囲気が今でも忘れられないが、藤純子は1968年から始まった女任侠物で一世を風靡、当時の邦画界を担うドル箱スターとして東映に輝かしい実績を残したのであった。その藤純子が引退する。歌舞伎俳優の尾上菊五郎と結婚して引退を決断するというのだ。東映は慌てた。そりゃそうだ。全盛期のアイドルや人気女優が『私、結婚して引退します』と宣言する様を想像して欲しい。そこで東映は次世代の藤純子育成の為に実績の無い女優をデビューさせる。それが池玲子であり杉本美樹であった(1972年には中村英子がデビュー)。しかも当時の映画界はネタ不足。特撮物などのお子様向け映画から脱却して、大人の男性の為の映画を模索していた時代でもあった。そしていきつく所がエロであった。これはもう自然の摂理だから仕方がない。かくして池玲子や杉本美樹は当初からお色気全開モ-ドでデビューさせられる事になる。世間の批判を逃れる為、仕方なく年齢を17歳から18歳へと偽ったのもこの為だ。
緋牡丹のお竜シリーズを支えた鈴木則文監督による『温泉みみず芸者』でデビューを飾った池玲子はその後もスケ番映画『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』『女番長ゲリラ』や任侠·ヤクザ物、エロ物として『エロ将軍と二十一人の愛妾』、『色情日記』の主演女優サンドラ·ジュリアンと競演した『現代ポルノ伝 先天性淫婦』、クリスチナ·リンドバーグと競演した『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』などの映画に出演して、世の殿方諸君の絶大な支持を獲得。1974年には当時のクンフー·ブームにあやかって製作された千葉真一主演による『逆襲!殺人拳』にも出演、更に香港に飛びゴールデン·ハーベストの『悪魔の生首』という映画にも出演している。ただ、彼女自身は1970年代前半早々にお色気映画からの撤退を表明、その後はバイオレンス物とかシリアスな映画などに出演を重ねていたが、彼女の支持率そのものは徐々に低迷していったようです。1975年を最後に映画出演からは離れたようだが、その後は1979年に松竹の映画に出演したきり。まだこの時点で彼女は20代だったのに。
■ 池玲子 - 歌、ナレーション
■ 川原正美とエキゾチック·サウンズ - 伴奏
■ ウィルビーズ - スキャット
彼女の引退騒動(この《騒動》とやらが一体どんなものだったかについては私はよく判らない。演技も裸にもなってくれる池玲子のような《商品》が勝手に一般映画へ転出などほざくな、というのが使用者側の意見だったのだろう。)以降も彼女は再度芸能界のスポット·ライトを華々しく浴びようと男性雑誌などに登場している。どうやら1980年代初頭時点でまだ芸能界に未練があったようだ。ネットでは『デビュー10周年』などというテキストと一緒に彼女の当時の写真を見つける事も容易だ。1971年デビューだから、『デビュー10周年』時点でのフォトは1981年かそこら、17代でデビューしているからこの時点で27歳。だが、こうした10代、あるいは20代のグラビア写真(多分別冊スクリーン、平凡パンチ、週刊PB当りだろう)を見ても全く悶々とした気持ちになれない。見れば判る。特に17歳当時の写真を見るがいい。17歳と言えば昨今のアイドル·タレントのような年齢(現実には中学生の美少女タレントだっている)だ。
是非ネットで探して見てもらいたいが今の私が見るととても未成年の女性には見えないのである。20代の画像にしてもそう。生きて行く事に草臥れた、刹那的な表情が見て取れるのである。とても10代には見えない崩れた体型から彼女がいかにそれまで厳しい人生を歩んできたかが伝わってくるのだ。写真は正直だ。昼夜を通した映画撮影の合間にグラビア撮影をしている筈だから、表情の向うに疲労の色が見えるのも仕方がないかもしれない。今ではレタッチ職人がデジタル処理してしまうのでやつれた表情なんかを修正してしまうのは容易いかもしれないが。こんな事ばかり書いていると、肝心のアルバムの方に映れないので、脱線気味の記事は程ほどにしておく。さて、本作「恍惚の世界」は彼女がデビュー間も無い1971年にテイチク·レコードから発売されたもの。今回の奇跡的な紙ジャケは限定1000枚仕様の見開き紙ジャケでデジタル·リマスター。当時のアナログのアート·ワークを忠実に再現したものらしい。
草臥れた写真の件はなかった事にしてまずはジャケを眺めてみる。凄い。まさに《ハレンチ》という言葉がぴったりくるような悶々としたジャケだ。表の写真といい裏の写真といい、前記の画像なんかとは比べ物にもならないお色気が匂い立ってくるようだ。見開きジャケの裏には『現代ポルノ伝 先天性淫婦』の劇中ショットが使われている。5枚使用されている写真の内、4枚がサンドラ·ジュリアンとの絡み画像という貴重なもの。よくぞこんな物再現してくれた、てなもんである。彼女の作品を評する前に渥美マリが1970年に発表した「夜のためいき」を比較対照としてみたい。前年の1970年に発表された渥美マリのレコードを凌駕してやろうという意気込みが彼女にも映画会社にも音楽会社にもあったかどうかは知らないが、お色気歌謡路線としては渥美マリ「夜のためいき」を遥かに凌駕している。渥美マリ「夜のためいき」はジャケットこそムフフなジャケットであったが、内容は至って可愛らしい(それでも当時とすればセクシーな歌声であった筈だが)歌謡ポップス。
はっきり言ってしまえば渥美マリ「夜のためいき」は妻や子供の前で聴いても全く問題のないレベルなのだが(多分、多分だよ^_^;)、今回の「恍惚の世界」の内容は全くケタが違う。冒頭の曲からして池玲子の『あ~んん』とか『うう~ん』とかいったハスキー·ヴォイスや『私の体の秘密を知っているくせに~』なんてナレーションが飛び出す始末。ムチで叩かれるギミックまであり最初から最後まで「夜のためいき」を遥かに凌駕している。こりゃ凄い。時に内容二の次三の次でアルバムを買う習性が30年も前から抜け切れていない私からすれば、これは立派に《買い》である。この際もう内容はどうでもいい(笑)。先の草臥れた画像の件など一変に吹き飛んでしまうのである。この手のハレンチ歌謡を知らぬ人なら必ずやカルチャー·ショックを受ける筈だ。阿久悠、なかしに礼、山口洋子、安井かずみ、筒美京平、山上路夫、都倉俊一、いずみたくといった著名な作詞/作曲家が連ねているが、多分誰も自分の曲が池玲子にカバーされた事を喜んではいなかっただろう。
収録曲のオリジナルに触れて見る。収録は大信田礼子「女はそれをがまんできない」の冒頭曲を筆頭に、五木ひろし「よこはま たそがれ」、最近キム兄とかいうタレントと結婚した辺見えみりのママ辺見マリが昔歌っていた「めまい」「経験」、朝丘雪路「雨がやんだら」、由紀さおり「夜明けのスキャット」、小山ルミ「さすらいのギター」(ベンチャーズが取り上げた事でも有名)、ちあきなおみ「 私という女」、渚ゆう子「雨の日のブルース」、奥村チヨ「恋の奴隷」、和田アキ子「天使になれない」、安倍律子「愛のきずな」。以上書いてみた。多分あってます。これで12曲。12曲の内、殆どの曲をリアルタイムで聴いていた事を追い出してしまった。オリジナルはムードたっぷりのムード歌謡。こうしたムード歌謡に池玲子の『あ~んん』とか『うう~ん』といったあえぎ声が全編に渡って登場すると思えば宜しい。兎に角池玲子の気持ち入れ込み具合は半端ではない。こんな作品、かつて聴いた経験なぞなかった。流石は女優さんである。
ちなみにこの「恍惚の世界」のベースとなったムード歌謡は日本独自の音楽文化であるが(当り前だ)、かつて日本に来日したラテン·ロックの第一人者でギタリストのサンタナがこのムード歌謡を聴いてぴんと閃き、名作2枚組「Moonflower」で拝借してしまったのは知られざる有名な話である。最後に。1人暮らしなら兎も角、池玲子の「恍惚の世界」を聴くには家族と一緒の生活ならヘッドフォーンは絶対必要である。いや、1人暮らしでもボリュームを上げる勇気は並の神経なら無理だ。家族と一緒の生活でボリューム上げて聴いていたら家族から大顰蹙、その日から貴方は家族から生涯死ぬまで変態扱いされるであろう。貴方がみうらじゅんなら別ですけどね(笑)。この紙ジャケ再発を機会に是非同世代のお色気歌謡も紙ジャケ化してもらいたい。そして肝心の池玲子出演の初期映画のDVD化も願いたいところです。海外で既にパッケージ化されている『ピンキー·バイオレンス·コレクション』をそのまま日本で販売するのも良いでしょう。
ただ、「恍惚の世界」の池玲子は17歳。17歳ですよ。17歳。「恍惚の世界」で舞い上がった私も結局素に戻るのである。
原文様 / Cottonwoodhill 別別館 | 中文化 / dachy
| 注:非常浅灰色字部分为池玲子没有唱出的词。 嗯~~~啊~~~呒~~~这些,大家自己慢慢揣摩就能背下来了。 |
女はそれをがまんできない(1971.12)
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ONNA WA SORE O GAMAN DEKINAINo no no... dame dakara No no no... . Onna wa sore wo sore wo . Onna wa sore wo sore wo |
女人无法忍No no no... 不可以呀 No no no... . 女人呀,那样的事,那样的事 . 女人呀,那样的事,那样的事 |
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よこはま たそがれ(1971)
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YOKOHAMA TASOGAREYokohama tasogare |
横浜黄昏横浜的黄昏 |
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経験(19??)
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KEIKENYamete, aishite nai nara |
经验算了吧,如果不再有爱的话 |
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めまい(1971)
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MEMAIChigau no, amaeru no suki yo Aishiteiru wa, dakara yuu no yo Wakatte, moeteiru mono wa |
眩晕不同的 喜欢撒娇 我爱你呀,所以我才说出来 明白了 燃着的东西是 |
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夜明けのスキャット(1969)
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YORUAKE NO SUKYATTORu ru ru ru ru····· Aishiau, sono toki ni Yoru wa nagare zu, hoshi mo kienai |
拂晓随哼噜噜噜噜噜…… 爱恋相逢的那刻 夜不流去,星也不隐脸 |
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雨がやんだら(1969)
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AME GA YANDARAAme ga yandara, o wakare na no ne Nureta kouto de, nureta karada de Ame ga yandara, watashi wa hitori Ame ga yandara, dete iku anata Nureta kouto wo, nureta karada wo Ame ga yandara, watashi wa hitori |
雨停的时候雨停的时候,就要离别了呢 大衣湿了,身子也湿了 雨停的时候,我将会一个人 雨停的时候,你出门去 湿了的大衣,湿了的身子 雨停的时候,我将又一个人 |
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さすらいのギター(19??)
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SASURAI NO GITAAAnata ni subete wo, ubawareta watashi |
流浪的吉他让你夺去了全部所有的我 |
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私という女(19??)
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WATASHI TOIU ONNAKonukaame ni, shin made nurete |
我这样的女人绵绵细雨里,一切都濡透 |
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愛のきずな(1970)
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AI NO KIZUNAItsuka shiranai toko de Ai··· Doko ka tooi tokoro de Ai··· |
爱之羁有时候不知不觉 爱··· 忘了哪处远方 爱··· |
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雨の日のブルース(1971)
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AME NO HI NO BURUUSUKosame ni nureteiru yoru no Kurai buruusu wo kuchizasami . Namida de matsuge wo nurashitemo |
雨天的蓝调小雨濡湿的夜里 为过去分别了的人 . 虽然泪水沾湿眼睫 |
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恋の奴隷(1969)
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KOI NO DOREIAnata to atta sono hi kara |
恋爱奴隶自从那天遇见你 |
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天使になれない(19??)
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TENSHI NI NARENAIKyou made kaketa ai ga |
变不成天使坚持到今天的爱情 |
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変身(1972.6)
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HENSHINHajimete anata to Musubareta hi Kuruwasete kuruwasete Beddo ni afureru Bara no hana wo Sutenaide sutenaide |
变身第一次与你相結心願的日子 狂亂吧,狂亂吧 床頭撒滿薔薇花 不要放,不要放 |
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女の赤い血が騒ぐ(1972)
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ONNA NO AKAI CHI GA SAWAGU |
女人的热血沸腾了 |
Midnight whisper in a curved air(2006)remix版之“女はそれをがまんできない”,Acid Mothers Temple的吉他手河端一(Kawabata Makoto)特别混制。 |